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理事長あいさつ




公益社団法人京都保健会
理事長 松原爲人
 
 2012年の岡山県総会から2024年の沖縄県総会まで、6期12年にわたり全日本民医連の理事を務めさせていただきました。長きにわたるご援助とご協力、本当にありがとうございました。
 振り返れば私が全日本民医連理事として関わり始めた頃から、民医連では「二つの柱」や「八つの重点課題」、そして「ケアの倫理」といった私たちの活動の根幹を形作る議論が重ねられてきました。特に医療部としてそのプロセスに関われたことは、私にとって大きな学びであり、かけがえのない経験でした。
 京都での総会で新綱領の制定に始まり、無差別・平等の医療と共同の営みを根本に据えた議論が重ねられてきました。そして貧困や格差、高齢化といった社会的課題に対峙するための医療・介護の実践、それを支える質の向上。この2本柱のもとでアウトリーチや認知症対策、ノンテクニカルスキル、職場文化づくりなど現場での具体的な取り組みが広がっていきました。
 その中でも近年、特に重要なテーマとして共有されてきたのが「ケアの倫理」です。2021年の学運交での岡野先生のお話は私にとっても大きな転機でした。効率や利益が優先される時代だからこそ、ケアを重んじる視点が社会全体にとっても医療現場にとっても必要だと強く感じました。ケアの倫理とは、単に「良いことをする」倫理ではなく相手の気持ちや背景、関係性に目を向け応答性を大切にする姿勢です。一方的にケアを与えるだけではケアをする側が疲弊してしまいます。相手とのやりとりを通じて自分もまた育ち喜びを感じる―そんな双方向のケアを大事にしたい。これは民医連が目指してきた医療そのものだと私は思っています。
 医療や介護を取り巻く環境は、ますます厳しさを増していますが、どんな状況にあっても私たちが大切にしてきた理念と実践は多くの人の支えになりうるものです。現場により近い立場で職員や地域のみなさんとともに、この道を歩み続けていきたいと思っています。
 引き続き全体の運営をすすめていけるよう、どうぞよろしくお願いいたします。
2025年7月3日 京都保健会理事会挨拶より