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理事長あいさつ
2024年 年頭の所感
公益社団法人京都保健会
理事長 吉中丈志
 明けましておめでとうございます。
新型コロナ感染症が5類相当になり社会経済活動が再開する中で新年を迎えました。京都民医連中央病院リニューアル移転後の新しい中期計画を本格的に展開する年です。新しい気持ちで進んでいきたいと思います。
 ウクライナで戦争が始まって2年、昨年にはガザで戦争が起きました。数千人を超える子供の命が奪われ、体や心の負傷はその何倍にも達します。報道される映像に胸が痛み、強い憤りに心が震えます。
 停戦と人道支援を実現しなければなりません。「人間の安全保障」(国連)を打ち立てなければなりません。ナチズムと闘い犠牲を強いられたロシアやイスラエルが大量虐殺を繰り返しています。正義は失われ「道徳は復讐である」という言葉がよみがえります。戦争の果てに平和はやってきません。アメリカでは若者が人権や人道を求める声を上げ各地で運動が広がっています。「倫理は連帯だ!」、未来の世代が新しい価値観を主張しています。
 京都保健会は「地域における医療、介護・福祉、保健予防サービスを提供し、社会医学的研究を行い、国民の健康で文化的な生活の増進に寄与」します。新しいフェーズへの新しい取り組みが求められています。コロナ後の新しい社会をめざして、医療、経営、運動、人づくり、すべての面で新たな前進を実現しましょう。
紹介受診重点医療機関、かかりつけ医機能を有する医療機関、地域包括ケアで質の高い介護を提供する介護施設など、身近な地域における医療、介護の連携体制構築を重視し、事業所の機能を高めて未来に向けた創造に挑戦しましょう。
 全国医療情報プラットフォーム構築、電子カルテ情報の標準化、診療報酬共通算定モジュールの開発、などが進んでいます。保健会では、IT化推進戦略に基づいて電子カルテの更新をはじめとしたインフラ整備を進めています。2030年をめざして医療DXが加速しています。医療DX推進本部など政府の動向を見ながら、保健会として先端的な取り組みに挑戦したいと思います。
 PFASなどの環境汚染問題が深刻です。気候変動とともにプラネタリーヘルスの課題として取り組んでいきましょう。
 岸田内閣は診療報酬改定率0.88%を決めました。物価上昇の下で、地域医療・介護の質を向上させ、医療従事者の処遇を改善するには不十分な内容です。戦争する国づくりを止め、人間の安全保障を確かにする政策に転換すべきです。
 軍事費の増大は、医療や介護などの社会保障の最大の障害です。京都保健会も深刻な影響から免れず、事業所の経営は強い逆風にさらされています。これに抗して進んでいかなくてはなりません。医療の変革や政治と社会の変革が必要です。
 私たちの力は、全職員の経営、共同組織とのパートナーシップ、保健会自身の自己変革にあり、未来の世代がその鍵を握っています。今年1年、よろしくお願いいたします。
2024年1月1日