食と健康

糖尿病を予防するには

いつでも元気 2022.6 No.367より転載

富山協立病院 浅井雅子(管理栄養士)

 低糖質〇〇、ローカーボ○○など糖質制限の食品やレシピが注目されていますが、皆さんは血糖値が気になりますか?血糖の役割とは?「血糖」と「糖尿病」について疑問を整理してみました。
 まず血糖とは、血液中のブドウ糖のこと。食品に含まれる糖質が体内で消化吸収されたあとブドウ糖として血液中に送られ、全身の細胞のエネルギー源となります。大脳や中枢神経系のエネルギー源としても重要です。
 次に血糖値とは血液中のブドウ糖濃度のこと。高過ぎても低過ぎても、私たちの身体にさまざまな不具合をもたらします。血糖値はいろいろなホルモンによって一定の濃度に保たれています。なかでも「インスリン」というホルモンが、血糖値のコントロールや生体の維持に深く関係します。

血糖値の変動

 インスリンの働きが不足すると、ブドウ糖が体内でエネルギー源として使われず血液中にあふれ、いつも高い状態になります。血液が濃くなり脱水状態になるばかりでなく、糖尿病や心筋梗塞、肝硬変といった病気にかかる危険性が高くなります。
 一方、血糖値が低いときはどうでしょう血糖値が70㎎/dl以下の状態を「低血糖」と言います。食事の量が少なかったり、忙しくて決まった時間に食事がとれない、また空腹で激しい労働や運動を行ったときなどに起こりやすいです。
 症状としては、集中力や落ち着きがなくなったり、無気力になる、頭痛や吐き気、めまい、冷や汗など。さらに進むと昏睡状態に陥るなど、危険な状態になることもあります。
 通常、血糖値は一定に保たれていますが、コントロール不能な状態が糖尿病です。糖尿病を食事で予防するなら「バランス食」です! おにぎり、パン、麺類だけで済まさずにおかずも食べたいです。ここれはフレイル(機能低下)やサルコペニア(筋肉の減少)の予防にもつながります。
 「主食」「主菜」「副菜」あるいは一汁三菜をイメージすると簡単です。野菜中心の料理(副菜)からゆっくり食べ始めることもお勧めです。極力、1日3食決まった時間に食べること。夜遅くの飲食や深酒を避け、食べ過ぎないことも大事ですね。

 次ページ(以下)では、糖尿病をおいしく予防するメニューを紹介します。

いつでも元気 2022.6 No.367より転載