久世診療所着任と所長就任にあたって

光吉 明(みつよし あきら)

 4月から久世診療所にお世話になっております光吉明と申します。よろしくお願いいたします。
 私は膳所高校を経て滋賀医科大学を昭和61年に卒業後、すぐに京都大学第二外科(小澤和恵教授)に入局し京大病院での研修、大和高田市立病院勤務のち、平成3年に京都大学医学部大学院に入学、生体肝移植手術に従事しつつ、肝温阻血障害(かんおんそけつしょうがい)・再灌流障害(さいかんりゅうしょうがい)の研究を行いました。その後は三菱京都病院(約17年間)、大津赤十字病院(約1年半)に勤務し、10年間在籍した大津市民病院では本年3月まで副院長として臨床業務と同時に学生、若手医師の医学教育に携わっておりました。専門は消化器・肝胆膵外科、内視鏡外科で、当初は胆石症や虫垂炎手術に始まり、主に胃癌、大腸癌の手術を執刀していましたが15年ほど前からは専ら肝臓癌、膵臓癌など肝胆膵領域の悪性疾患に対する外科手術(腹腔鏡手術)の執刀、手術指導を行っていました。またここ数年間は重症入院コロナ患者の治療、そして医療安全部門と患者相談部門の責任者としての業務も行っていましたので、毎日のように患者さんからの苦情や医療事故にまつわる訴訟などの対応に追われ、外科医としての光と影、目の当たりにした“命の選別(トリアージ)”、現代医療の表も裏も唯々諾々(いいだくだく)に経験させられたという状況です。
 このたびそのような職歴とは180度方向の異なる地域医療、訪問診療を始めさせていただくこととなりましたが、私の母の実家は四条新町、亡父の実家は九州、30数年前から私は左京区在住ですので久世診療所の位置する南区についての知識はほとんどありません。そして診療所業務、訪問診療業務領域は私にとってまだまだ経験、知識ともに不足しておりますので山本昭郎先生からこの地域の特性を含め、多くの教えを乞う毎日です。

 4月から勤務させていただいた久世診療所の印象として、山本昭郎先生の約40年にわたるビジョン、奉仕精神のもと職員全員が一つになって親切で丁寧な医療、そして地域に密着し、弱者に立った医療を実践されている確かな実感があります。今まで私が勤務していた労働環境、患者さんへの対応とは雲泥万里(うんでいばんり)と言わざるを得ません。“5分間診療”に象徴されるように外来患者さんと接する時間は短く、時間、数字、実績に追われる毎日、そして朝から深夜までの長時間手術、夜間の突然の呼び出し等に追われるような病院勤務が数十年続いていました。あらためて自身の医師としての生活スタイルの見直し、そして患者さんにとって最良の医療とは何か、という原点に立ち戻って考える時期に来ていると感じています。

 新型コロナ、ウクライナ情勢、超高齢化社会の到来など目まぐるしく変わる社会情勢のなか、7月以降どのような方向性をもてば久世診療所をさらに繁栄させ、皆様のお役に立てることができるか思案しているところです。現時点では、
 ① 山本昭郎先生の方針を受け継ぎ立場の弱い方にも優しい地域医療の充実(気軽にいつでも立ち寄れる診療所)
 ②訪問診療の充実
 ③ 経営効率の改善(電子カルテの導入など)
 ④ 私が専門としていた消化器診療や外科診療の導入
などを検討しています。④については皮膚腫瘍手術や外傷処置、褥瘡処置、ストマ管理、痔の診療なども考えていますが、具体的にはあらためてお知らせさせていただく予定です。

 久世診療所に勤務させていただいてから、温かい職員の方々に囲まれた環境で気持ちよく仕事をさせていただき、本当に感謝しています。患者さんをはじめとして全く新しい労働環境ですので、すべてが新鮮で学ぶべきことも多く、セレンディピティなるものもどこかに隠れ潜んでいるかもしれません。皆様にいろいろとご教示いただきながら、より一層地域医療に貢献できるよう尽力する所存ですのでよろしくお願いいたします。

光吉明所長プロフィール
日本外科学会 認定医・専門医・指導医
日本消化器外科学会 認定医・専門医・指導医・消化器がん外科治療認定医
日本内視鏡外科学会 技術認定医
日本肝胆膵外科学会 高度技能指導医・評議員
日本外科感染症学会 周術期感染管理教育医・周術期感染管理認定医・評議員
日本臨床栄養代謝学会 認定医・NST認定教育施設指導医・評議員・近畿支部世話人

ICD(インフェクション・コントロール・ドクター)
医療安全管理者
日本医師会認定産業医
京都大学医学博士(医学研究科外科系博士課程)
京都大学医学部外科 臨床教授

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