KCFM家庭医療学セミナーふくちやま(オンライン)報告
京都家庭医療学センター(KCFM)
ふくちやま協立診療所 寺本敬一
テーマ 終わりよければすべてよし ~グリーフケアとデスケアカンファレンスのすすめ~
日時:2021/9/25 15:00から17:40
場所:オンライン(Zoomミーティング)
<振り返り>
昨年度に引き続き、COVID-19の感染拡大防止のため、地域の多職種協働・学習の機会を減らさないためにもオンライン開催としました。当日は、福知山市内だけでなく、京都市内事業所からも含め合計36名(訪問看護師8名、看護師10名、ケアマネ8名、社会福祉士1名、事務2名、医師7名)が参加されました。
グリーフケアについては、当方の企画意図、多数の事前質問を踏まえた素晴らしい配布資料を日本グリーフケア協会特級講師の成瀬理子先生にご作成いただき、オンラインにてプレゼンテーションをしていただきました。改めて、グリーフ、グリーフケアについて体系だった講義をしていただき、グリーフは、「思慕」、「うつ的不調」、「疎外感」、「適応対処の努力」など4つの心の状態の揺れ動きであることを学びました。グリーフケアは、傾聴を基本として、レジリエンスによって殆どのご遺族が乗り越えられていく。励まし、助言、叱責などの3大NGをしないように気をつけることも重要なことがわかりました。 その後、ほっとステーションきぼうから、幼児の在宅看取り事例の発表をしていただきました。患児、ご家族に寄り添い、主治医との連携の要として、懸命に緩和ケアを実践されていたことがよく分かる感動的な発表でした。ご家族の思いに応えるため、主治医が「ご家族の意思決定が正解となるようなケアをしていきましょう」という方針のもと、夜間の臨時往診で、訪問看護師とその場で治療方針を相談、変更、鎮静開始後にも安全を確保して訪問入浴で大好きなお風呂にも入ることができたこともできました。
グループワークは、当初、シナリオを基にロールプレイを予定していましたが、講演時間の変更などのため、デスケアカンファレンスの書式検討、阻害要因とその克服をテーマに差し替えて実施しました。
全体終了が17:40と終了予定時間を超過してしまいましたが、グリーフ、グリーフケアの体系的な講義でグリーフ、グリーフケアへの理解が深まり、実践的な方法も学ぶことができ、デスケアカンファレンスの意義を確認することも出来ました。ひとりひとりの方、ご家族に提供する包括的、継続的な緩和ケアについて改めて考える機会となりました。緩和ケアは、非常にやりがいが多い仕事ですが、心理的肉体的負担が過度になり燃え尽き症候群のリスクもありえます。多職種で誠実に緩和ケアを提供し、ご遺族にもグリーフケアを行い、デスケアカンファレンスで振り返り、学びを続け、スタッフが抱える“もやもや”を多職種で共有、悩みながら、考えながらよりよい緩和ケアを継続して提供できるようになるとよいですね。
事後アンケートでも、5段階評価で平均すると、全体評価は、4.7、講演への評価も4.7、事業所の取り組み発表は4.9と非常に高い評価でした。一方、グループワークは3.5とディスカッションテーマ、ツール、時間の確保などの課題がありました。
おかげさまで、「参加しないと味わえない感動もありました。」「又このような学習会があれば参加したいです」など好評をいただきましたので、来年もまた、地域の多職種協働学習会を開催したいと思います。来年こそ、新型コロナが収束して、対面開催ができることを祈っております。
最後になりましたが、お忙しい中ご参加いただいた皆様、お互いに学びを深めていただき本当にありがとうございました。今後もよろしくお願いいたします。