第13回日本プライマリ・ケア連合学会学術集会 インタレストグループ報告

第13回日本プライマリ・ケア連合学会学術集会 インタレストグループ
「気候変動 ✕ プライマリケア」

京都家庭医療学センター(KCFM)
ふくちやま協立診療所 寺本敬一

 2022/6/11 日本プライマリ・ケア連合学会 学術集会@横浜に京都府福知山市から4時前起床、23時帰りの日帰りで参加しました。新型コロナ禍が始まり、3年ぶりの学会参加でした。
 家庭医仲間の佐々木隆史先生からのお誘いで、インタレストグループ「気候変動✕プライマリケア」で発表させていただきました。当日まで何人来られるかとても心配でしたが、蓋を開ければ、50名の満員御礼でした。

 小生から、「気候危機から再生へ」というテーマで、気候危機についての基本的知識のおさらいと、2030年に温室効果ガスを半減、2050年に温室効果ガスをゼロにして地球温暖化を逆転するためにやるべきことのリストはすでにあり、あとは、ひとりひとりの行動でよりよい世界に変えられる。温室効果ガス削減策として、技術的な対策としてはやはり風力発電、太陽光発電が重要ではあるが、その他に料理ストーブの改善、冷媒の管理、代替も有用であること。一方、意外にも食料廃棄の削減、菜食主義、ジェンダー平等、女性の高等教育の取り組みもかなり効果的な対策であること、また土壌、海洋を守ること、生物多様性の維持、回復(リジェネレーション)も温室効果ガス削減に有効であることを「ドローダウン」のリストから説明しました。

 続いて、佐々木先生から、気候変動とプライマリケアの関係について、プレゼンしていただきました。まず、医療による温室効果ガスは、国で例えると世界5位の排出量となるほど多いので臨床医は、有限な資源を消費していること、温室効果ガスを排出していること、環境への負荷を減らす責任があることを自覚する必要があります。
 Good/Best Practiceが不必要な検査、入院を減らし、CO2削減につながること、定量噴霧器のフロンガスによる温室効果が甚大であり、可能な方には粉末製剤の吸入器に切り替えが望ましいことなどを説明していただきました。

 各講義のあとに、スモールグループディスカッションを行っていただきました。
 皆さん、それぞれのテーブルで活発に盛り上がり、各自が考える機会になり、お互いに刺激をうけられたようです。自分の発表は緊張のあまり声が震えてしまいましたが、アンケート結果ではまずまずの反応だったと、よいように勝手に受け止めています。
 参加いただいた皆様、佐々木先生、長崎先生、梶先生、本当にありがとうございました。また、何とか体調を維持していただいた在宅患者さん、在宅スタッフにも感謝しております。その後、気候危機に関心をもって、取り組みたい医師の集まりは、自発的な盛り上がりで、”みどりのドクターズ”に進化しました。

参考・推奨HP
・PROJECT DRAWDOWN https://drawdown.org/
・ドローダウン・ジャパン・コンソーシアム https://drawdownjapan.org/
・PROJECT REGENERATION https://regeneration.org/

ふくちやま協立診療所 HPH

  • HPHとは、Health Promoting Hospitals & Health Services(健康増進活動拠点病院等)の略で、ヘルスプロモーションを実践するためにWHO(世界保健機関)が開始した国際的なネットワークです。
  • ふくちやま協立診療所は2021年2月に加盟し、患者さん・地域の方・職員の健康づくりの支援をとおして健康なまちづくりに貢献します。