民医連綱領

 私たち民医連は、無差別・平等の医療と福祉の実現をめざす組織です。

 戦後の荒廃のなか、無産者診療所の歴史を受けつぎ、医療従事者と労働者・農民・地域の人びとが、各地で「民主診療所」をつくりました。そして1953年、「働くひとびとの医療機関」として全日本民主医療機関連合会を結成しました。

 私たちは、いのちの平等を掲げ、地域住民の切実な要求に応える医療を実践し、介護と福祉の事業へ活動を広げてきました。患者の立場に立った親切でよい医療をすすめ、生活と労働から疾病をとらえ、いのちや健康にかかわるその時代の社会問題にとりくんできました。また、共同組織と共に生活向上と社会保障の拡充、平和と民主主義の実現のために運動してきました。
 私たちは、営利を目的とせず、事業所の集団所有を確立し、民主的運営をめざして活動しています。

 日本国憲法は、国民主権と平和的生存権を謳い、基本的人権を人類の多年にわたる自由獲得の成果であり永久に侵すことのできない普遍的権利と定めています。
 私たちは、この憲法の理念を高く掲げ、これまでの歩みをさらに発展させ、すべての人が等しく尊重される社会をめざします。

一.人権を尊重し、共同のいとなみとしての医療と介護・福祉をすすめ、人びとのいのちと健康を守ります
一.地域・職域の人びとと共に、医療機関、福祉施設などとの連携を強め、安心して住み続けられるまちづくりをすすめます
一.学問の自由を尊重し、学術・文化の発展に努め、地域と共に歩む人間性豊かな専門職を育成します
一.科学的で民主的な管理と運営を貫き、事業所を守り、医療、介護・福祉従事者の生活の向上と権利の確立をめざします
一.国と企業の責任を明確にし、権利としての社会保障の実現のためにたたかいます
一.人類の生命と健康を破壊する一切の戦争政策に反対し、核兵器をなくし、平和と環境を守ります

 私たちは、この目標を実現するために、多くの個人・団体と手を結び、国際交流をはかり、共同組織と力をあわせて活動します。

2010年2月27日
全日本民主医療機関連合会 第39回定期総会

民医連の介護・福祉の理念

 私たちは、民医連網領を実現し、日本国憲法が輝く社会をつくるために、地域に生きる利用者に寄り添い、その生活の再生と創造、継続をめざし、「3つの視点」と「5つの目標」を掲げ、共同組織とともに取り組みます。

3つの視点

  1. 利用者のおかれている実態と生活要求から出発します
  2. 利用者と介護者、専門職、地域との共同のいとなみの視点をつらぬきます
  3. 利用者の生活と権利を守るために実践し、ともにたたかいます

5つの目標

  1. 無差別・平等の追求
    人が人であることの尊厳と人権を何より大切にし、それを守り抜く無差別・平等の実現をすすめます。
  2. 個人性の追求
    自己決定にもとづき、生活史、その入らしさを尊重した実践をすすめます。
  3. 総合性の追求
    生活を丸ごととらえ、生きることそのものを総合的にささえる実践をすすめます。
  4. 専門性と科学性の追及
    安全・安心を追求し、専門性と科学的な根拠に裏打ちされた質の高い実践をすすめます。
  5. まちづくりの追求
    地域に根ざし、連携をひろげ、誰もが、最後まで安心して住み続けられるまちづくりをすすめます。

2012年12月14日
全日本民主医療機関連合会 第40期 第11回理事会

介護事業のあゆみ

  • 2012年6月、上京区内に点在していた、総合ケアステーションわかば訪問看護・訪問介護・居宅支援、訪問看護ステーションつくしを上京南館(旧上京病院デイサービス棟)に集中し、総合ケアステーション化しました。これにより、介護事業所間及び上京診療所との連携強化をはかり、また、訪問看護ステーションの大型化で、24時間サービスができる環境を整えました。
  • 2013年12月、上京区と北区の境界にあった乾隆地域包括支援センターも上京南館に移転し、さらに連携を強め、利用者様への機敏な対応を職種を超えて実現しました。
  • 2016年2月、京都保健会としてはじめてのサービス付き高齢者向け住宅を開設、住まいを中心に、共同組織の方や地域の方々と協力しながら、人権が保障される地域包括ケアの実践をはじめました。(以上、京都保健会60周年記念誌より要約)