京都北部総合診療専門研修プログラム

1.当プログラムのこだわり
  • 実践的省察ができる医師を育てます
    徹底的に自己省察を勧奨し、プロフェッショナリズム教育を実践することで、社会の要請に応えられる能力を有し、自律した「医師」として常に高いレベルを目指し続ける医師を養成します。
  • 医療の質にこだわります
    日常診療においては医療の質にこだわり、あらゆる領域において一定の水準を超えた医療の提供が実践できる医師を養成します。特に高齢者・認知症診療、多職種連携、リーダーシップ、地域志向ケアといった分野において優れた能力を発揮できる人材を育成します。
  • 研究者としての視点も育みます
    リサーチ・クエスチョンから研究を企画し実行することができる医師を養成します。京都協立病院の開設法人が京都大学大学院医学研究科社会健康医学教室と提携しており、臨床研究者を養成する土台が整備されています。

2.当プログラムの概要
  • 専門医機構に認定された3年間の総合診療専門医養成プログラムです。
  • 本研修プログラムは、京都協立病院を基幹施設とし、中丹医療圏にある中核病院である3病院、僻地とされる丹後医療圏を含む2診療所の合計5施設群で構成されており、個別性の高い各地域での研修を通じて、より応用力のある総合診療医を養成します。
  • 小児科、救急研修を除いたすべての期間中、救急・外来・病棟・在宅という継続性を重視した研修を受けることができます。
  • 地域医療資源が限られてはいるものの、多種多様な疾患に遭遇し、マネジメントまで責任を持って対応が求められる当地は総合診療には理想的なフィールドです。これらの疾患を通じて地域と連携し、チーム医療を経験する過程で、家庭医療のコアとなる知識や技術を確実に身につけることができます。

3.当プログラムのアウトカム(目標)
  • 当プログラムは、質の高い総合診療専門医の養成を目指し、あらゆるセッティングで最善の医療が提供できる応用力を培うことを研修目標とします。
  • 後期研修の3年間を通じて、予防—外来—在宅—病棟の各セッティングをシームレスに体験し、一人の患者を継続的に診る事で個々の患者への深い洞察力と質および満足度の高い医療を提供する能力を身につけることができるようになります。
  • チーム医療や地域の医療資源との連携を上手く活用することができ、コミュニケーション能力が高く、リーダーシップ能力があり、心優しく頼りになる医師を涵養します。

4.研修スケジュール例

5.研修方略
  • 適宜実施するオン・ザ・ジョブ・トレーニングの他に内科カンファレンス、多職種との症例カンファレンス、振り返り、教育的回診、メンタリング、抄読会などを定例的に実施します。
  • その他の教育の機会として、後期研修専攻医が集まり、研修の振り返りやSEAを行うことを目的にしたハーフデイバックを毎週開催します。また、ポートフォリオの検討と学習の場としてのレジデントデイを毎月開催します。
  • 総合診療・家庭医療の理論学習としての連続学習会が年度初期に行われます。
  • 近畿で行われるポートフォリオ発表会でのポートフォリオ発表や学会での発表を研修中に位置付けます。

6.研修評価

 【形成的評価】

  • 研修手帳の記録及び定期的な指導医との振り返りセッションを定期的に実施する。(頻度:1回/週)
  • 最良作品型ポートフォリオ作成の支援を通じた指導を行う。(頻度:1回/月)
  • 作成した最良作品型ポートフォリオの発表会を行う。(頻度:1回/年 参加者の範囲:全職種)
  • 実際の業務に基づいた評価(Workplace-based assessment)を定期的に実施する。(頻度:1回/月)
  • 多職種による360度評価を各ローテーション終了時等、適宜実施する。
  • 年に複数回、他の専攻医との間で相互評価セッションを実施する。
  • ローテート研修における生活面も含めた各種サポートや学習の一貫性を担保するために専攻医にメンターを配置し定期的に支援するメンタリングシステムを構築する。
  • メンタリングセッションは数ヶ月に一度程度を保証する。

 【総括的評価】

  • 総合診療専門研修Ⅰ・Ⅱの研修終了時には、研修手帳に専攻医が記載した経験目標に対する自己評価の確認と到達度に対する評価を総合診療専門研修指導医が実施する。
  • 内科ローテート研修において、症例登録・評価のため、内科領域で運用する専攻医登録評価システム(Web版研修手帳)による登録と評価を行う。研修終了時には病歴要約評価を含め、技術・技能評価、専攻医の全体評価結果を内科指導医が確認し、総合診療プログラムの統括責任者に報告する。
  • 3ヶ月の小児科の研修終了時には、小児科の研修内容に関連した評価を小児科の指導医が実施する。
  • 3ヶ月の救急科の研修終了時には、救急科の研修内容に関連した評価を救急科の指導医が実施する。

7.プログラム修了判定

  以下の基準でプログラム統括責任者はプログラム全体の修了評価を実施する。

  1. 研修期間を満了し、かつ認定された研修施設で総合診療専門研修ⅠおよびⅡ各6ヶ月以上・合計18ヶ月以上、内科研修12ヶ月以上、小児科研修3ヶ月以上、救急科研修3ヶ月以上を行っており、それぞれの指導医から修了に足る評価が得られている。
  2. 専攻医自身による自己評価と省察の記録、作成した最良作品型ポートフォリオを通じて、到達目標がカリキュラムに定められた基準に到達している。
  3. 研修手帳に記録された経験目標が全てカリキュラムに定められた基準に到達している。
  4. なお、研修期間中複数回実施される、医師・看護師・事務員等の多職種による360度評価(コミュニケーション、チームワーク、公益に資する職業規範)の結果も重視する。

8.研修施設紹介
  • 京都協立病院
    当プログラムの基幹病院です。医師過小地域である、綾部市内の中心病院の1つです。一般病床と地域包括病床が52床、回復リハビリ病棟47床、計99床を有するケアミックス病院。外来、訪問診療、急性期〜亜急性期の入院医療、リハビリテーションなどを通じてすべての年齢層に対して地域に必要な医療を幅広く展開しています。病病連携、病診連携、また地域の看護・介護事業所などとの連携も良好で、総合診療を地域に展開する上で理想的な環境にあります。総合診療・家庭医療が主体の病院で教育スタッフの理解もあり、臓器別専門医との連携も良好です。
  • 福知山市民病院
    中丹医療圏に位置し、急性期病床296床、回復期リハビリテーション病棟44床、結核病床10床、感染症病床4床もち、周辺地域を含め約10万人の医療圏をカバーする地域で唯一の基幹病院です。地域基幹病院であることから、救急では地域で発生するほぼ全ての一次~三次の疾患を経験し初療と状況により入院加療も経験可能であり、内科系や小児科領域も地域で発生する幅広い疾患や医療ニーズに対応しています。患者の幅広い健康上の問題に身体・心理・社会の各側面からアプローチし、常に新しい知見や根拠に基づいた医療が提供できる組織をめざしています。臨床研修指導にも力を入れ、初期研修指導とともに、後期研修においても総合医・各科専門医の養成をすすめています。
  • 舞鶴共済病院
    京都北部の地域医療の中核となる病院の一つで、病床数300床の急性期病院です。総合内科(総合診療専門研修Ⅱ担当)は高齢の患者の割合が多く、多臓器にわたる問題を抱える高齢者のマネジメント、肺癌などの悪性疾患の治療や緩和ケアも行っています。内科研修に関しては総合内科の他、循環器内科、消化器内科と協力し、各分野のコモンディジーズや手技の経験が可能です。
  • ふくちやま協立診療所
    一般外来診療、労災診療もしているが、特徴は訪問診療になります。関連施設との連携で強化型の在宅療養支援診療所を取得しています。非常勤医師の協力も得て月平均70-75件、140回の訪問診療。片道20km強、30分かかる地域もあるなど広範囲。地域の訪問診療医師不足をカバーしています。在宅看取りは、年間7-10件程度。グリーフケア訪問も積極的に取り組んでいます。訪問看護ステーションは隣接しており、定期的にカンファレンスもするなど連携を密にしています。関連病院との病診連携はスムーズであり、その他地域の基幹病院とも病診連携は十分にできています。豊富な在宅症例で、慢性疾患安定期の管理に加え、褥創、感染症など急性期の対応など多彩な経験を積むことができます。また、関連病院での入院担当もすることがあり、一人の患者さんを連続して診療できる継続性を実践、学ぶことができます。電子カルテ導入されており、症例のまとめ、情報共有が容易となっています。
  • たんご協立診療所
    京丹後市という医療過疎地域において地域医療の一旦を担っています。一般診療は、内科、外科(整外)、小児科の診療を行っており、労災診療では、「振動病」の患者さんに毎日、温熱療法を実施しています。また、在宅医療は、在宅支援診療所3の届出を行い、24時間の在宅看取りも行っています。公益社団法人として、無料低額診療事業の利用も積極的に進めています。なお、当診療所では、指導医不在ですが、ITを利用した遠隔指導が可能であり、専攻医の質を担保する体制を整えています。

9.指導医紹介
  • 京都協立病院
    ◯玉木 千里(たまき ちさと)
    ・院長、当プログラム統括責任者
    ・日本プライマリ・ケア連合学会認定医・指導医
    ・日本内科学会認定医、総合内科専門医・指導医
    ・日本リハビリテーション医学会 専門医
    ・指導医養成フェローシップHANDS-FDF2008修了
    ・ミシガン州立大学”Methods in Family Medicine Educational Fellowship”修了
    ・2011年慈恵医大「プライマリ・ケア現場の臨床研究者の育成」第2期フェローシップ修了

    ◯門 祐輔 (もん ゆうすけ)
    ・医局長
    ・日本プライマリ・ケア連合学会 認定医・指導医
    ・日本内科学会 総合内科専門医・指導医
    ・日本リハビリテーション医学会 専門医・指導医
    ・日本神経内科学会 専門医・指導医
  • ふくちやま協立診療所
    ◯寺本 敬一(てらもと けいいち)
    ・ふくちやま協立診療所 所長
    ・日本プライマリ・ケア連合学会認定医・指導医
  • たんご協立診療所
    ○川﨑 繁(かわさき しげる)
    ・たんご協立診療所 所長
  • 舞鶴共済病院
    〇湯地 雄一郎(ゆち ゆういちろう)
    ・総合内科部長
    ・日本プライマリ・ケア連合学会認定医・指導医
    ・日本内科学会 総合内科専門医

    〇児島 成之(こじま なるゆき)
    ・診療部長
    ・内科学会認定医
    ・日本循環器学会専門医

    〇加藤 雅之(かとう まさゆき)
    ・循環器内科 主任部長
    ・内科学会認定医
    ・日本循環器学会専門医
    ・日本心血管インターベンション治療学会専門医
  • 福知山市民病院
    〇川島 篤志(かわしま あつし)
    ・研究研修センター長兼総合内科医長
    ・日本プライマリ・ケア連合学会認定医・指導医
    ・日本内科学会 総合内科専門医
    ・日本禁煙学会 禁煙専門医

    〇小牧 稔之(こまき としゆき)
    ・診療部長兼医長
    ・日本内科学会認定医
    ・日本消化器病学会専門医
    ・日本消化器内視鏡学会専門医

    〇足立 晋介(あだち しんすけ)
    ・小児科医長
    ・日本小児科学会専門医

    〇北川 昌洋(きたがわ よしひろ)
    ・救命救急センター長
    ・日本救急医学会救急科専門医
    ・日本外科学会専門医
10.募集定員 2名
11.連絡先

  大槻亘(おおつき わたる)
  住所:〒623-0045 綾部市高津町三反田1
  電話:0773-42-0440(京都協立病院代表)
  FAX:0773-42-9459(京都協立病院)
  mail:ikyoku-jimu@kyoto-kyoritsu.org

以上