知とってか 医療保険

友の会だより2022年2月号から連載の 知とってか医療保険 を掲載します。
内容は、会員のみなさんの関心に合うよう、節々の年齢で利用できる制度を紹介しています。

  1. 75歳になったら先ずこれから申請(2022年2月号)
  2. 後期高齢2割は止められるか!?(2022年3月号)
  3. 後期高齢者医療の療養費支給とは(2022年4月号)
  4. 後期高齢者医療の“還付金”?(2022年5月号)
  5. 70歳から「高齢受給者証」に更新(2022年6月号)
  6. 65歳から「2割負担」申請開始(2022年7月号)
  7. 困ったら躊躇なく医療扶助を(2022年8月号)
  8. 無料低額診療事業もあります(2022年9月号)
  9. 「ベッド料」は払わなければならない?(2022年10月号)
  10. 要介護や認知症は、障害者控除で減免や割引、手当申請が可能です(2022年11月号)
  11. まとめ(2022年12月号)

1.75歳になったら先ずこれから申請

 75歳から後期高齢者医療保険になります。申し込みや国保等の脱退手続は不要で、誕生日の前月下旬に「1割負担」の保険証が届きます。ペラペラの1枚ですが、毎年7月に新証が届きます。
 保険証が届いたら「認定証」を市役所保険年金課か各支所に申請しましょう。対象は①住民税非課税世帯の方(市全体で30%、高齢者は更に比率が増える)と②3割負担の方です。
 ①の方の「限度額適用・標準負担額減額認定証」があると、通院は月額8千円以内に、入院は所得に応じた設定の上限までの支払いとなります。さらに、入院した時の一食当たりの通常料金460円が210円~100円に減額されます。「入院する時」でなく、備えあれば憂いなしです。通知が届く前に早め早めで準備しましょう。
 ②の現役並(課税標準額145万円以上、ざっくりと月収約32万以上)の方は「限度額適用認定証」があると、高額療養費申請が不要になります。

2.後期高齢2割は止められるか!?

 10月(2022年)から後期高齢者医療制度に2割負担がはじまります。負担が倍になるのは、年収(年金と他の合計)が単身者で200万円以上、夫婦で320万円以上の方です。緩和措置(月3千円迄の負担増)を宣伝していますが3年間のみです。また、対象は5人に1人と言っていますが、財務省や経団連は、原則2割を求めており第一段の思惑です。

 さて、年間の医療費負担額は70~74歳が7万2千円なのに80~84歳が7万5千円、85歳以上は8万4千円で2割負担の70~74歳より、1割負担の80歳以上の方が高く(社会保障490号)負担率を上げると、高齢者の負担はさらに重くなり、受診抑制や中断につながります。そのため、高齢者は軽減されてきた歴史があり、支払能力に応じるのは窓口負担でなく、保険料にこそ求めるべきです。また、そもそも強制加入の社会保険は、保険料だけでなく、公的負担と事業主負担で保障すべきです。
 思い出せば「後期高齢」の呼び名が大ひんしゅくを浴び、2007年の参議院選挙で自民党が大敗し、70歳以上の患者負担2割化が凍結されました。くしくも今年7月は参議院選挙です。5人に1人だから他人事にするのか、明日は我が身で怒るのかの分かれ道です。長い目でみれば、孫子のためにこそ後者です。

3.後期高齢者医療の療養費支給とは

 健康保険は、診療所等で保険証を提示し診療を受ける「現物給付」が基本ですが、やむを得ない事情で自費等になった場合は、その費用が療養費として支給(後払い)されます。主なものは次になります。
 ①外出先で急病等で保険証を提示できず治療を受けたとき、②コルセット等の治療用装具をつくったとき、③柔道整復の施術を接骨院等で受けたとき、④鍼灸・ マッサージの施術を鍼灸院等で受けたとき、⑤海外で急病等の治療を受けたとき、⑥治療のため転院する移送費、⑦臓器移植に伴う諸費用、⑧輸血時の親族以外から生血購入、⑨葬儀費用です。以上の申請には各種条件と書類が必要です。なお、①~⑧は滅多に利用しないかもですが、⑨は誰でも“一度は”です。喪主が申請し5万円が支給され、時効は2年です。そして、国民健康保険等も同様の療養費制度ですので、頭の片隅に置いておいてください。

4.後期高齢者医療の“還付金”?

 当コーナーで「後期高齢者」を扱うのは最後となり、やはり触れざるを得ないテーマが「還付金」です。
 ニュースで流れる「医療費の還付金詐欺」、「こんなものに騙されない」と思っている方は要注意。そもそも「還付金」とは、払い過ぎた税金が戻ることで、医療費には当てはまりません。なぜ騙されるのか?それは、言葉巧みに「高額療養費」制度を語るからです。先ず「この制度は関係ない」を覚えてください。なぜなら、関係者の長年の要望・運動により高額療養費制度が改善され、現物給付(限度額制度)が広まったからです。しかしその分、複雑な制度となりその分量と必要性から当紙面での説明は省くこととします。

 この高額療養費制度を利用(申請)するのは、①現役並所得者(月収約32万以上)で「限度額適用認定証」を申請していない方(当シリーズ1.参照)と②介護保険も利用し合わせて高額になる方です。①は該当しなくても、②は…と悩まれる方、心配ご無用です。該当者には年一回必ず申請書が届きます。この申請書を2年以内に提出すればよく、急ぐ必要はありません。よって市役所が電話で確認や訂正することはありませんし、ましてATM(現金自動預け払い機)を操作させることなど詐欺以外には絶対にありません。

5.70歳から「高齢受給者証」に更新

 70歳になったら保険証(国保も社会保険も)は、「高齢受給者証」に替わり、新証が届きます。申請は不要です。「証」の色や形はそれまでと同じですが医療費の負担割合が2割になり、1日生まれは誕生日から、以外は誕生月の翌月から適用となります。ただし、「現役並み所得者」はそれまで同様の3割負担となります。
 「現役並」とは、課税所得が145万円以上(年金支給額でない)、月割にして収入が大体32万以上の方、社会保険に加入の方は標準報酬月額が28万円以上の方です。
 少し脇道ですが、今年春から老齢年金の繰下げ受給上限年齢が70歳から75歳に引き上がりました。「年金が倍に」的な話題になっていますが、一生「3割負担」になってしまい、税・保険料も「現役並み」、負担は「倍以上」になってしまう場合もあります。人生計画を踏まえた判断が必要です。なお、年金等の給付時期を遅らすことの目的は、その財政にとって当然プラスだからです。

6.65歳から「2割負担」申請開始

 65歳から「2割負担」の申請ができます。対象は65~69歳で前年が所得税非課税世帯の方です。2割負担の適用は65歳の誕生月の1日からで、その前月から市役所保険年金課か各支所に申請が可能です。なおこれは府の制度で府内医療機関でのみ利用できます(府外は受診後に申請し給付)。

 昨今は65歳まで働くことが一般的となり、「65歳の前年が非課税」の条件は厳しいようですが、69歳までに条件が合えば適用となりますので、申請を漏らさないようにしましょう。
 例えば、65歳以降は年金が主な収入なら単身155万円以下、配偶者扶養適用の場合は211万以下が非課税となります。66歳の年は65歳の年の所得税が対象となりますので、67歳になる年の7月に申請してみましょう(最後に働いた期日や誕生月で異なります)。66歳の年が非課税なら67歳の年の8月から適用となります。この福祉医療制度(老)の基点月は8月だからです。

 2割負担になると「一部負担金限度額適用認定証」も適用となり、後期高齢者と同様に月8千円が負担の上限となります(当シリーズ1.参照)。

7.困ったら躊躇なく医療扶助を

 入院や高額の通院治療が継続して必要になると医療費は負担です。これを解決するには医療扶助が万能です。医療扶助は生活保護制度の生活・住宅等の8つの扶助の医療分野です。社会保険の加入者であればその三割負担分が不要に、国民健康保険(後期高齢者医療保険含む)加入者は「被保険者から除外」となり、保険料も生じなくなります。

 適用基準は、住所地や住居形態、家族構成・人数にもよりますが、福知山市で借家70歳代単身者は月収入10万円以下、同じく70代夫婦15万円以下、同じく40代夫婦+子ども二人で21万円以下の場合は該当します。申請は市役所福祉事務所ですが、相談は友の会事務所や診療所でも受け付けます。

 生活保護を利用できる人のうち日本で利用している割合(捕捉率)は2割程度です。フランスは92%、イギリス90%、ドイツ65%で日本は極めて低い水準です。本来、生活保護は憲法25条の「健康で文化的な最低限度の生活」を権利として具体化したものです。それでもためらう方へ、国は「消費税は社会保障のため」と宣伝しており、消費税という“保険料”を払い続けていることになるので「使わないと損」と割り切るのも一つの切っ掛けではないでしょうか。

8.無料低額診療事業もあります

 前号(項)で、入院や高額の通院治療が続く場合、医療扶助(生活保護制度)が万能で「困ったら躊躇なく申請」と述べましたが、「やはり少し悩む」方向けという訳ではありませんが、「無料低額診療事業」(以下制度)を紹介します。申請先は市役所ではなく、病院・診療所の窓口で、適用されると医療費が無料または減額される制度です。

 この制度は全ての医療機関が実施しているのではなく、非営利を目的とする法人が開設する医療機関や、生活困窮者支援にとりくむ医療機関が実施しています。京都保健会が開設する15医療機関(ふくちやま協立診療所含む)は全て実施しています。

 制度の適用条件は各医療機関毎の基準があり(京都保健会は世帯収入が生活保護基準の1.5倍未満)、それを証明できる書類(源泉徴収票・給与明細等)が必要です。そして、この制度の最大の特徴は、医療相談員が配置されていることです。生活問題を含め相談・支援を受けることができ、医療費だけでなく、収入の面からも、生活立て直しの援助やサポートを受けることが可能です。医療費でお悩みの方、先ずは診療所や友の会にご相談ください。

9.「ベッド料」は払わなければならない?

 入院したとき高額な差額ベッド料を請求されるときがあります。この制度の厚生労働省の通知は、①同意書確認がない、②治療上の必要から有料室に入院、③大部屋が満床のため、以上の3ケースの場合は差額ベッド料の請求ができないことになっています。
 これを踏まえて、差額ベッド料が負担の場合は、先ず「大部屋希望」を伝え、それと相談室等に困る理由や不安なことを説明しましょう。前号で紹介した病院独自の減免制度などがあるかもしれません。なお、京都保健会等の民医連加盟の病院は、そもそも差額ベッド料がかかりません(詳しくはこちら)。

 少し関連してですが、今月(2022年10月)から大きな病院(市民病院は当てはまる)に紹介状なく受診したときの特別負担金が、5千円から7千円に値上げされました。これを回避するには紹介状をかかりつけの医療機関に依頼しましょう。無料ではないですが3割負担でも千円以下です。それと「風邪かも?」のときは、費用も時間もそのためのかかりつけです。「ガンかも?」も「風邪」と同じでかかりつけからです。

10.要介護や認知症は、障害者控除で減免や割引、手当申請が可能です

 加齢による歩行困難や身体障害があり認定基準に合えば、身体障害者手帳を受けることが出来ます。また、認知症の場合は、精神障害者保健福祉手帳になります。「手帳」があれば税の障害者控除が受けられ、非課税になると保険料や利用料が下がることもあります。また、自動車税やNHK受信料の減免、公共交通機関や携帯電話料金等の割引が受けられます。
 この「手帳」機能を代替するのが、介護保険の要介護認定です。認定を受けていれば、障害者控除対象者認定書の申請を市にし、税の障害者控除を受けることが出来ます。そして、要介護4・5なら特別障害者手当を申請しましょう。該当すると月額27,300円、年33万円弱が支給されます。詳しくは市の担当窓口やケアマネにご相談ください。

まとめ

 シリーズは終わりますが、保険料アップ、医療保険に続き介護保険の負担増、そして年金切り下げと庶民いじめが続きます。制度改善の運動とともに、今の制度を100%活用し生活防衛しましょう。当シリーズ内容は市役所窓口で確認もとりましたので「友の会だよりに書いてある」と持参してもらっても大丈夫です。担当者は丁寧に説明されます。
 書き残しは、①民間保険請求は忘れずに、②世帯住民税が非課税なら負担金、保険料、そして給付金等が有利です。同居親子でも生計を異にする場合は躊躇無く世帯分離がお勧めです。

ふくちやま協立診療所 HPH

  • HPHとは、Health Promoting Hospitals & Health Services(健康増進活動拠点病院等)の略で、ヘルスプロモーションを実践するためにWHO(世界保健機関)が開始した国際的なネットワークです。
  • ふくちやま協立診療所は2021年2月に加盟し、患者さん・地域の方・職員の健康づくりの支援をとおして健康なまちづくりに貢献します。