日本人の脳梗塞の強力な感受性遺伝子が明らかに

本研究所の小泉所長は、国立循環器病研究センターの研究グループと共同で、日本人の脳梗塞の強力な感受性遺伝子を明らかにしました。
脳卒中の死亡者は年間11万人にのぼり、その7-8割を占めている脳梗塞は寝たきりや認知症の主要因で、直接の医療コストは年間 1兆円を超えています。脳梗塞はさらに、脳の比較的太い血管の動脈硬化を主因としたアテローム血栓性脳梗塞、脳の細い血管が詰まるラクナ梗塞、心臓内でできた血栓が心臓を飛び出し脳の大血管を詰まらせる心原性脳塞栓などに分類されます。一般にアテローム血栓性脳梗塞とラクナ梗塞には高血圧や糖尿病などの生活習慣病が、心原性脳塞栓には不整脈などが関係すると考えられています。しかし、我が国では欧米諸国と比べて脳梗塞の発症頻度が特に高いことが知られており、欧米人とは異なる遺伝的要因の存在が疑われていました。
国立循環器病研究センタープレスリリース(2019/1/8)より

(下図)RNF213 p.R4810K多型の有無による虚血性脳卒中のオッズ比
日本人46,958名(脳梗塞17,752名、対照29,206名)を対象に、本多型の有無による脳梗塞のなりやすさを調べたところ、虚血性脳梗塞のかかりやすさは1.91倍、アテローム血栓性脳梗塞のかかりやすさは3.58倍となった。一方でラクナ梗塞や心原性脳塞栓には有意に関連しておらず、この遺伝子は脳の比較的太い血管に直接影響を及ぼすと予想される。国立循環器病研究センタープレスリリース(2019/1/8)より